研究内容

生理学分野では、多様な海洋環境に生命が適応するしくみについて、遺伝子から個体レベルにいたるさまざまな技術を駆使して、その解明にチャレンジしています。特に魚類を主な研究対象とし、メンバー全員で協力しながら問題の解明にあたっています。

大海研・生理学分野の最大の特徴は、軟骨魚類(サメ・エイ・ギンザメ)を主要な研究対象としていることです。軟骨魚類の生理学を扱うことができる研究室は、世界的にも限られています。軟骨魚類に特徴的な尿素を利用する環境適応のしくみ、卵生から胎生までの多様な繁殖様式と発生過程、摂食・成長・ストレスなど、軟骨魚類に特徴的な生理学的メカニズムならびにホルモンなどによる制御機構を明らかにしようと研究を進めています。研究所でもドチザメやトラザメなどの飼育実験を行っていますが、アクアワールド大洗水族館や沖縄美ら海水族館、国内外の研究機関との共同研究により研究対象や研究手法を広げています。最近では、生理学的メカニズムのフィールドでの検証も大きなテーマであり、西表島の浦内川において、河川を遡上するオオメジロザメの調査を継続的に行っています。(詳細はこちら

軟骨魚類だけでなく、優れた体液調節能力を持つ真骨魚類についても研究を進めています。特に、サケやメダカをモデルに広塩性のしくみ、広塩性を制御するホルモンの働きを調べています。メダカについては、RNAseqやゲノム編集による遺伝子ノックアウトによる、個体レベルの遺伝子機能の解析も進めています。サケについては、柏キャンパスでの飼育実験だけでなく、東北マリンサイエンスのプロジェクトのもと、大槌湾のシロサケ稚魚や親魚を用いる研究も進めています。

それぞれの研究を通して、異なる動物群に特徴的なしくみを解明するだけでなく、共通性と多様性という比較生物学的解釈を加えることによって、海洋環境への適応という現象を生物の進化という時間軸に沿って理解することを目指しています。